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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の意外な自覚症状とは!?

こんにちは。
開院後、睡眠時無呼吸症候群(SAS)についてのご相談を多くいただくため、今回はその特徴や意外な症状についてまとめてみました。少しでも参考になれば幸いです。

睡眠時無呼吸症候群は、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)と中枢性睡眠時無呼吸(CSA)の2つに大きく分けられますが、実際の患者さんのほとんどOSAですので、ここではOSA(閉塞性)について解説していきたいと思います。

OSAといえば、「肥満の中年男性」というイメージがあるのではないでしょうか。ご本人の日中の強い眠気や、ご家族からの「いびきが大きい」や「寝ている時に呼吸が止まっている」といった指摘によって来院されることが一般的です。
ですが、実はそれ以外にも、意外な症状があります。

それは、夜間の症状で言えば、「夜間頻尿(夜中に何度もトイレに行く)」や「睡眠中の窒息感(寝ている途中に息苦しさで目がさめる)」、日中の症状で言えば、「起床時の頭痛」「起床時の疲労感」です。
これらの症状は、自分で気付けるサインです。
ご家族からの指摘だけでなく、こうした自覚症状からも疑うきっかけとなりますので、一度ご相談いただければと思います。

他に、疑う客観的な所見としては、「肥満」以外に、「鼻閉(鼻が詰まりやすい)」、「顎が小さい」、「喉の奥が狭い」というのが挙げられます。「喉の奥が狭い」というのは、ご自分で鏡を見て、口蓋垂(のどちんこ)がどれくらい見えるかが一つの目安となります(参考:修正マランパチ分類)。

これらは、咽頭のスペースが狭いために舌が気道を閉塞しやすい環境となるためです。また、日本人は欧米人と比較して、解剖学的に頭部・顔面に奥行きがないため、肥満がないにも関わらず、OSAを発症しやすいと言われています。

他に、解剖学的な問題だけでなく、上気道の筋肉の緊張度が低下することでOSAを発症することも言われており、主には、加齢、アルコール、睡眠薬の使用などが関与します。

OSAは、典型的には肥満の中年男性が多いですが、小児、高齢者、女性にもみられます。

小児の自覚症状は、「朝の寝起きが悪い」や「不注意行動が多い」などです。小児のOSAの多くは扁桃肥大が原因ですので、気になる方は、一度お子様の口の中を見てあげてください。小児の治療第一選択は、アデノイド切除術・扁桃摘出になります。

女性の自覚症状は、不眠症状、足がムズムズする、悪夢を見るなどの症状を訴えることがあり、閉経後に増えると言われます。なぜ閉経後に増加するかというと、もともと、女性ホルモンは気道周囲の筋肉の緊張を高め気道を閉塞しにくくする役割がありますが、閉経後に女性ホルモンが低下すると、その役割が減少し、上気道を閉塞しやすくする要因となるためです。余談ですが、妊娠のタイミングでも、女性のOSAは増加します。女性ホルモンの変化により鼻粘膜の状態を変化させ鼻閉になる環境が誘発されやすくなること、また、体液量が増加し、上気道が閉塞しやすくなるからと言われています。

検査の方法として、自宅でできる簡易モニター検査と、入院または自宅で行う精密検査があります。今回は詳しくは書きませんが、簡易モニター検査は、「呼吸」の状態は測定できますが、「睡眠」そのものの深さや質までは測定しません。一方、精密検査は「呼吸と睡眠」の両方を測定することができます。簡易モニター検査では、測定された呼吸から、睡眠を推測するというイメージです。ただ、簡易モニター検査は、自宅で簡単にできる検査でので、スクリーニングに非常に適しています。
ご興味のある方は、一度当院にご相談ください。

長くなりましたが、OSAの自覚症状は、日中の眠気やいびきだけではありません。「夜中にトイレが近い」「朝から疲れる、頭痛がある」など、一見関係なさそうなことも、実はサインかもしれません。
疑わしい症状があれば、どうぞお気軽にご相談ください。