軽症〜中等症のコロナ感染症に対する治療薬は?
2025.06.10
みなさん、こんにちは。
最近、クリニックの発熱外来において、コロナ感染症患者さんが増えている印象です。
コロナ感染症に関して、質の高い研究結果が、最近発表されたのでご紹介します。
Pan J, Chen M, Wang Z, et al. Drug treatments for mild or moderate covid-19: systematic review and network meta-analysis. BMJ. 2025 May;381:e076362.
この論文は、軽症から中等症のCOVID-19患者への薬物治療の効果を見ております。
166,230人の患者が登録された259件の試験のうち、187件(72%)が解析に組み入れられました。
結果、標準治療(解熱薬や水分補給等の対症療法)と比較して、
パキロビッドとベクルリーの有効性が示されました。
具体的には以下の通りです。
パキロビッド(R):1000人中25人程度(20~28人)入院を減少させる効果あり(割と信頼性あり)
ベクルリー(R):1000人中21人程度(7~28人)入院を減少させる効果あり(割と信頼性あり)
ラゲブリオ(R)やステロイド:信頼性は高くないけど、入院をそれなりに減少させる効果あり
カレトラ(R)(HIV治療薬):副作用による中止率が高く、有効性なし
数字だけを見ると、軽症から中等症のCOVID-19感染症に対しては、パキロビッドが第一優先薬になるのでしょうか。
当院のような比較的軽症のコロナ患者さんを見ることが多い診療所にとって、このようなデータは、非常に参考になります。
明日からの診療に役立てたいと思います。