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血をサラサラにする薬っていつまで続けるの?

久しぶりの投稿となります。
今回は、呼吸器や糖尿病と直接関連はないのですが、日常臨床でよく出会うテーマについて触れたいと思います。

「血をサラサラにする薬」と聞くと、健康に良さそうなイメージを持たれる方も多いかもしれませんが、実際には、脳梗塞や心筋梗塞など血栓が原因の病気を防ぐために使用されます。

心房細動がある人
心筋梗塞・狭心症を起こした人
脳梗塞をすでに引き起こした人

が必要となり、原則中止することのない薬です。

「血を固まりにくくする」ということは、裏を返せば「血が止まりにくい」ということです。転倒などケガをした時に血がとまりにくかったり、知らず知らずに胃や腸から出血し、貧血が進行していることも珍しくありません。

命を守るために欠かせない薬でもありながら、これらの副作用のリスクを持ち合わせています。そのため、医師も処方にあたっては慎重に判断し、注意深く取り扱っています。副作用の観点で中止したくても、命を守るという観点で中止できないという場面が多々あります。

今回取り上げたいテーマは、心房細動(不整脈)治療後の患者さんに、いつまで血をサラサラにする薬が必要なのかということです。2025年8月31日に韓国の18施設(840人)を対象にした研究の論文が投稿されましたので、ご紹介したいと思います。

Kim D, Shim J, Choi EK, et al. Long-Term Anticoagulation Discontinuation After Catheter Ablation for Atrial Fibrillation: The ALONE-AF Randomized Clinical Trial.JAMA. 2025 Aug 31:e2514679

心房細動に対してアブレーション治療後、抗凝固薬はいつまで必要かという内容です。アブレーション治療で不整脈が起こらなくなった後、抗凝固薬を続けるべきか、やめてもいいかは、これまで明確な答えがありませんでした。
今回の研究では、アブレーション後に心房細動の再発が1年以上なければ、抗凝固薬を中止した方が、むしろ安全性が高い可能性が示されました。

観察期間が2年間なので、まだまだエビデンスの積み重ねが必要ではありますが、国内の観察研究でも似たような傾向が出ておりますので、今後の新しい治療の流れに期待が持てそうです。

当院でも、血をサラサラにする薬を内服している患者さまはたくさんいらっしゃいます。これからも、それぞれの患者さまが、どのような目的で内服しているのか、また、副作用は出ていないかなどを確認しながら、診療に臨んでいきたいと思います。

最近の論文で、特に興味深い内容でした。今後も、地域の皆様にお役立ちできるような質の高い最新の論文をできるだけわかりやすく発信していきたいと思います。