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帯状疱疹ワクチン、結局どっちを選べばいいの!?

こんにちは。

2025年4月から宝塚市で「帯状疱疹ワクチンの定期接種(公費負担あり)」が始まったこともあり、
「ワクチンって本当に打った方がいいの?」「そもそも帯状疱疹ってどんな病気?」といったお問い合わせを多くいただくようになりました。
そこで今回は、帯状疱疹という病気と、その予防法としてのワクチンについて、少しまとめてみたいと思います。
少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。

まず、帯状疱疹についてですが、そもそもなぜ帯状疱疹になってしまうのかご存知でしょうか。子どもの頃にかかった「水ぼうそう」と関係があります。

水痘・帯状疱疹ウイルスが空気感染によって、鼻や咽頭のリンパ節に入り込み、その後、体内の血流に乗って、全身の皮膚や臓器に運ばれます。そのタイミングで、皮膚に水疱ができる、いわゆる水ぼうそうの状態となります。その際、目には見えませんが、水痘・帯状疱疹ウイルスは、皮膚に病変を作るだけでなく、実は、神経にも感染し、体からは排除されず神経の奥にひっそりと潜んだままになります。この神経への感染が、帯状疱疹を引き起こす元になります。

水痘・帯状疱疹ウイルスは、普段は免疫力のおかげでおとなしくしていますが、加齢やストレスで免疫力が低下したり、免疫を抑える薬などがきっかけで、暴走が始まります。いわゆる“再活性化”と言われるものです。
ウイルスの暴走(ウイルスの再活性化)は、感染源である神経から皮膚へ感染を引き起こし、皮膚に帯状の水疱を作ります。その過程で、神経細胞にダメージを与え、神経細胞を壊してしまいます(出血性壊死)。

この神経へのダメージが、帯状疱疹発症時の症状である「ピリピリ痛い」「チクチクする」といった状態です。この痛みに関しては、帯状疱疹自体が治ったとしても、持続することが多く、また鎮痛薬も効きにくいと言われます。なぜなら、ダメージを受けた神経は、焼け焦げた電気コードのようなものだからです。焼けこげた電気コードを修復するのが難しいのを想像してもらえればと思います。

帯状疱疹後の痛みは、痛みだけにとどまらず、日常生活や精神状態に大きな影響を与え、不眠や不安、ふさぎ込みにまでつながります。

帯状疱疹は、50歳代から発症しやすくなり、80歳までに3人に1人が発症する頻度の高い病気です。
また、50歳以上の帯状疱疹患者の5人に1人が帯状疱疹後の疼痛を発症します。
さらに、帯状疱疹患者の3%程度は入院加療を必要とします。
帯状疱疹に一度かかった人も、6~10%程度は再発するため、注意が必要です。

長々書きましたが、ここからが本題です。

帯状疱疹を予防するためには、現在日本では2種類のワクチンが存在します。

生ワクチン(弱毒水痘生ワクチン)と不活化ワクチン(シングリックスR)がありますが、
発症予防効果、神経痛予防効果、長期予防効果はシングリックスに軍配が上がります。

生ワクチンの予防効果について
50~59歳の健康な成人 69.8%の予防効果
60歳以上の健康な成人 51.3%の予防効果
(日本のデータでは、50歳以上の予防効果は27.8%でした)

に対して、

シングリックスの予防効果について
50歳以上の健康な成人 97%の予防効果
70歳以上の健康な成人 90%の予防効果
11.4年間の予防効果 87.7%

この違いは、“アジュバント”という免疫活性化機能がシングリックスには備わっている一方で、水痘生ワクチンには備わっていないからです。
“アジュバント”は、ワクチンの効果を高めるサポート役を担っています。
特に高齢者や免疫が弱い人では、しっかりと免疫をつけるのが難しいため、アジュバントが重要な鍵となります。一方で、アジュバントが備わっているワクチンでは、免疫応答が強いため、副反応が若干強く出る傾向にあります。

以上のことから、50歳以上または帯状疱疹に罹患するリスクが高いと考えられる18歳以上の帯状疱疹予防には、シングリックスをお勧めします。